手塚が九州に行ってから、幾度と見てきた青空を見上げた。
002 空
シャープペンシルの芯を、カチカチと入れたり出したりしながら
ぼんやりと外を眺める。
夏の暑いひざしと、じーわじーわと鳴くセミの声を聞きながら、目を閉じた。
窓際、一番後ろ。おそらく教室で一番いいとされるこの席になってから、
結構たつ。
「あー、今日から2日、空調は点検に入る。暑いと思うがだらけないように!」
教師の声に軽く失望感を抱きながら、そよ風を感じていた。
暑いなんて感じてないと紛うほどに、涼しい顔をする手塚は。
今どこで、何をしているんだろうか。
否、リハビリに決まっている。
どこで?どんな?――会いたい。
「会いたいよ。てづか」
黒板に書かれていく白い文字を目で追って。もう一度空に視線をうつした。
「手塚、も・・見てるかな、」
何が?
・・・空。
こめんと
寂しくて、手塚に思いを馳せる乾さんでした。
勉強しろって(笑)