手塚が九州に行ってから、幾度と見てきた青空を見上げた。

 

 

 

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シャープペンシルの芯を、カチカチと入れたり出したりしながら

ぼんやりと外を眺める。

 

夏の暑いひざしと、じーわじーわと鳴くセミの声を聞きながら、目を閉じた。

窓際、一番後ろ。おそらく教室で一番いいとされるこの席になってから、

結構たつ。


「あー、今日から2日、空調は点検に入る。暑いと思うがだらけないように!」


教師の声に軽く失望感を抱きながら、

そよ風を感じていた。

 

暑いなんて感じてないと紛うほどに、涼しい顔をする手塚は。

今どこで、何をしているんだろうか。


否、リハビリに決まっている。

 

どこで?どんな?――会いたい。

 

 

「会いたいよ。てづか」

 


黒板に書かれていく白い文字を目で追って。

もう一度空に視線をうつした。

 


「手塚、も・・見てるかな、」

 

何が?

 

・・・空。

 

 

 

 

 

 

こめんと

寂しくて、手塚に思いを馳せる乾さんでした。

勉強しろって(笑)