果てしないその欲望は、
頭を振っても振っても消えやしない。
果てしなく続く探究心
もしもし、母さんですか?
聞こえているならどうか、返事をしてください。
怒ってるの?だから僕たち
手足と体がなくなっちゃったんだ。
ごめんなさい、ごめんなさい。ただ、貴方に会いたかっただけ。
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その日泊まった安宿の硬いベッドでエドは目を
覚ました。何か嫌な夢を見ていた気がするが上手く思い
出せない。
酷く汗をかいて、喉も渇いていた。
「・・・アル、居るのか?」
呼びかけたが何の物音もしない。
どうやら出かけたようだ。
体を動かすのも億劫だったが、何とか備え付けの簡易台所まで
歩く。
水を飲もうとコップを握ったが、力が入らず
落として割ってしまった。
足にも力が入らず、そのままエドは後ろにガタンっと転げた。
「はっ・・は、はぁ・・はっ・・あ、・・」
何故か熱い水が目から滑り落ちる。
頭もがんがんと痛くて、胸も苦しかった。
体は熱いのと対照的に寒気がする。エドは息苦しさを覚えながら、
目を瞑り、細い声で叫んだ。
「母さん!」
人体錬成。
これをすれば、また母さんに会えるよ、また楽しく暮らせるよ。
魂を弄びたかったわけじゃない、ただ会いたかっただけ。
あの時は、それしか方法はなかったのだから。
苦しいなぁ・・息苦しい。
あれ?ここ、どこだっけ
「兄さん!」
不意に耳元近くでその声は聞こえた。
今まで何も聞こえなかったけど、確かにそれはアルの声。
いつものアルの呼びかけ。
その呼びかけに目を薄く開けると、
白い部屋にいた。白くて白くて、その白さが妙に目に痛かった。
「あ・・?ここ、は・・?」
「兄さん!よかった!ここ病院だよ、分かる?兄さん倒れたんだ」
「あー・・俺、確かコップ割っちゃった後・・」
その後、不摂生がたたっただの、規則正しい生活してよだの、
小言を散々アルにぶちまけられた。
おいおい、勘弁してくれと言いながらも、俺はもう一度
決意をあらわにした。
「Don't for get」
ワスレルナ。
飽くなき探究心。