もう随分長いことそうしていた気がする。

 

 

列車の旅

 

 

片田舎のリゼンブール。
そこからあまり出たことのない頃は、色々戸惑ったりもしたものだけれど

今ではもうすっかり、列車の旅も慣れてしまった。

 

ふと前を見やると見慣れたその姿。

厳つい鎧、可愛らしい声とその性格。

自慢の弟をこんな姿にしてしまったのは
自分の過信と神の領域を侵すことの恐怖を知らなかった幼さゆえか・・

 

弟は、アルフォンスは何も言わない。

黙って、ただついて来てくれている。この、不安定で不確かな旅に。
そして、俺に。

 

「アル。あと何駅だっけ」

「あと2駅だよ、兄さん」

 

いつもこの青空の下で、

 

いつもいつも僕らは旅を続けてる。

 

果てしなく、終わること知らず。
軽いデジャヴと期待感と喪失感。

窓から吹く爽やかで少し冷たい風が、
いつも俺を撫ぜていく。