この想いは邪魔になるだけ。

そうやって置いてきた筈なのに、いつの間にかそれは膨らみ、肥大し、

私の心を圧迫し始めた。

 

 

Burn with passion
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思い焦がれる


 

「・・・い、中尉、中尉?」

忙殺されるような日常に、少々辟易しながらも書類を片付けていく。

東方司令部にもう一人いる司令官に呼び出されたあと、2人並んで持ち

場に戻った。前を行く男に、恋愛感情を持っているのは自分でも分かっ

ていた。だが、それはいらない感情だ。

上司と部下。

彼と私を繋ぐ接点は、それしか存在しないのだから。・・と。

そんな考え事をしていて、呼びかけに気づかず一瞬反応が遅れた。目

の前で怪訝な顔をし、首を傾げる大佐に少し焦りながらも、それは顔に

は出さないで、返事をする。

「何でしょうか、大佐」

「何かあったのかね?君が物思いに耽るのは珍しいな」

優しげに微笑み、そう聞いてくる大佐が眩しく見え、そっと目を伏せて

言う。

「いいえ、何でもありません」

 

イイエ、ナンデモアリマセン。

 

そう、この感情は、捨てるべき己の恥。

彼を思い、平常心をなくすくらいなら。そんなものは、

 

――いらない。

 

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あとがき

シリアス企画、第一発目!めずらしく、今回は中尉が
苦しみます。

それにしても、プロローグだからって短いな・・。