My name is NEKOTAISA.

「我輩はネコ大佐である」

 


東方司令部。
ここはたしかに軍配下の敷地である。
しかし、今日はある部屋の一角に異様な空気をかもし出している人がいた。

その人の名はロイ・マスタング、地位は大佐。
焔の錬金術師として広く知られている彼には、

ネコ耳がついていた。

何もロイは好きでネコ耳をつけているわけではなかったが、ネコ耳をつけた自分の上司が黙々とデスクワークをこなしているのを見るのは、ある意味、面白いを通り越して、本当に涙がでてきてしまう光景だ。


「ネコ耳を話題にすると燃やされるに1000センズ!」

「目線のやり場に困りますよね・・」

あぁ、素晴らしきかな。流石は動物の耳・・部下のひそひそ声も難なくキャッチできる。


「・・そんなに暇なら仕事を増やしてやろうか・・?」

「No sir!」

ビシッと敬礼をした部下は余計なことを押し付けられる前にさっさと自分のデスクに戻ってしまう。
それを見ながら、ロイはまた深い溜め息をついた。


 

ホークアイと連れ立って入ってきた時点でロイはもうすでにどうしようもないほど苛立っていた。

「ここに鋼のがいなくてよかった・・・」

どうやって生えてきたのかも分からない、分解するには本物に似すぎている。
なす術なしとはこのことか・・。

こんな悪条件の中、冷静になれというのが酷なものだ。
その他に、ロイにとって最大の敵が目の前に立っていた。

「大佐、」

「なん・・何だ、ハボック。」

にっこりと微笑まれてロイもにこりと微笑み返した。
尤も、後者は冷や汗をたらしながらだが。


「・・・・ロイ」

「・・っ・・」


そうして、あれよあれよという間につれだされた所はおなじみの逢引場所。
東方司令部の仮眠室であった。

「ハボック、・・っ待て!ちょ、ハボっ――、んぅー!」

性急に服を脱がそうとするハボックを必死で押しとどめながらも、襲ってくるキスの余韻に勝てそうにもなかった。

久しぶりということもあって、行為が終わる頃にはくたくたになってしまいそうだ。
そうなると、・・もちろん、有能な部下が黙ってはいないだろう。

セーフティを解除した愛銃を無表情でこめかみに押し付けられるのは目に見えている。

「こんな可愛い耳生やしちゃって、
我慢できるわけないっすよ。・・ね?」

ハボックの欲情に擦れた声を耳に直に受け止めてしまい、ロイはふるりと震えた。
おまけに、ネコ耳を食んだり甘噛みしたりとロイの熱を上げるばかりでやめてくれそうにはない。

「やっ」

耳の中を舌で嬲られ、女のような声を出してしまったのに気づき、ロイは顔を真っ赤にして、我を忘れて叫んだ。

「やっ・・めないか!ハボックー!!!」

ばしーんっ!!

「・・・っ・・」

殴ってしまったことに一瞬気づかず、
ロイは呆然とした後で、俯き謝った。

「あ、あ・・すまな・・い・・」

「大佐・・?」

ハボックの呼びかけにビクリと体をこわばらせ、乱れた軍服を掻き抱いてロイは駆け出した。

「あ、大佐!」

慌てて捕まえようとしたが間に合わず、ハボックの右手は宙をかいただけだった。

呆然とうっすらと赤く腫れた頬を押さえながら、ハボックは深い溜め息をつき、タバコをとりだして咥えた。

「どーも、・・うまくないねぇ・・」



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あとがき

あれ・・・?何かシリアスになってしまいました(笑)
何話か続くはずだったんですが、前・中・後 構成にします。
てか大佐がオトメ・・・