「我輩はネコ大佐である」
朝起きると、耳がはえていた。 もっと細かく言うと、朝起きてボーーと頭をかいていると、手にフサフサしたものが
もう一度触ってみる。 ふさっ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」 洗面所に勢いをつけて飛び込む。 「・・え・・?」 耳だ。 鏡の中の自分には、確かにネコ耳がにょん。とはえている。 ロイは以前、中尉に描かれたネコヒゲを思い出した。 次の瞬間、ロイは受話器を手にしていた。
「休むなんて言ってないで大佐、10分以内に出てください」 「しかし・・耳が。にょんって、にょんってはえているのだぞ・・?」 「撃ちます」 「しかし中ぃ・・」 「撃ちます」 「・・っ分かった・・・」 流石に自分も命が惜しいので大人しく従うことにした。
大きな姿見の前に立って腕組みをする。 「どうしたものか・・」 とりあえず野球帽をかぶってみた。 「軍服には似合わないな」 しかたないので包帯を巻いてみた。 「・・・・・・病院から抜け出したみたいだな・・」 くしくも昔恋人とした包帯プレイなるものを思い出してしまい、年端もなく赤面してしまう。 「・・は!」 恋人。そう恋人を忘れていた。 それによる損害を単純計算して、すこし青ざめた。 「な・・何としてもこの耳を隠さないと・・」 大体急にはえてきて、原因が分からないのだ。 突然名案を思いついて、思わず鏡の中の自分を見る。 まるで本物だ。 ふさふさとした毛並みは自分の髪の色と同じで黒々している。 「はぁ・・・」 仕方なく溜め息をついて諦め、ロイはやっと出かける用意をし始めた。
「大佐。1時間と20分、31秒の遅刻です」 秒刻みかよ。 「そうかね。(さらり)」 「・・・・・・ネコ大佐。」 「!!!」
そんなやりとりが東方司令部の玄関先でされているとも露知らず、 ホークアイ中尉からの御達しで、大佐を見ても笑わないようにとのことだ。 一体どんな格好でくるかとワクワクしながらも、自分のデスクワークを片付けていた。
――――――――――――――――――――――― 続きます(笑) |