寝起き
「アルー!悪ぃ、汽車の出発時間が来たら教えてくれ!」 そう言うなりエドは野原の真ん中に寝転がり、いきなり昼寝を始めてしまった。
「あ、兄さんってば!」
昨日も沢山の文献を読み、ほとんど徹夜状態だったとはいえ、寝転がるなり幼い寝息を立て始めた兄に やはり笑いは隠せない。
どさりと兄の横に腰を下ろし、野原を眺める。 鎧の姿である自分に感覚はないが、春真っ盛りのぽかぽかとした空気が流れているはずだ。 少し目を細め、ゆったりとした空気に身を任せようとしたが
ふと自分の横に無防備に眠っている兄の姿が目についた。
小さいけど(兄さんに言うと怒るから言わない)大きい、兄さんを恋愛感情を持って見るようになったのは やはり鎧の姿になってからだと思う。 眠れないこの身体で、兄さんの寝顔を見るのは果たして何回目なのか分からないけれど、 いつも触れたいと思っていた。
「・・・・」
そっと髪に触れてみると、やわやわと手から滑り落ちていく。 太陽の匂いのしそうな黄金の髪。目。
「僕と同じ・・・」
いや、少し違う。自分の短く切りそろえていた髪とは違う、さらさらやわやわの金髪。
幼い頃とくらべて、当然だけれど凄く髪が伸びていて、それが何だかさみしくて、・・嬉しかった。 『あの日』からそれだけの時間がたっているという事実と、 『あの日』から一心同体のように旅している事実に。・・・・嬉しくて、悲しかった。
「ん・・アル・・?」
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
眠そうにこしこしと目を擦る兄は思わず微笑んでしまうほど可愛らしかった。 名残惜しいが黄金の髪から手を離そうとする。 それをエドは目で止めた
「もっと触っていいんだぞ?」
予告めいたセリフに鼓動が聞こえるんじゃないかと思うほど大きく鳴る。 大きな黄金の目でじっとこちらを見つめる兄から目が離せなくなってしまった。
「・・兄さん?」
そっと顔を近づける。 日向の香りが温かい空気に混じってやわらかく肌を撫ぜる もう少し、もう少しで太陽に手が届く。 そう思った途端に聞こえてきた音に、僕はしばし呆然としてしまった。
「ぐーーー・・・」
「・・・・・・・・・ぇ・・?」
兄さんは日向の香り 黄金の目はとても奥深くて綺麗。 兄さんは僕の希望 その手で導いてくれる。
「ふぅ」
小さく溜め息をついて、もう一度髪を撫ぜ始めた。 もうしばらくは、こうやっているのもいいかもしれないと思いながら。
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+あとがき+
ほのぼの目指して玉砕☆ ああぁぁ・・アルフォンス君がナチュラルに変態に・・
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